JAバンク・JA・農協の出資金は解約・返還・払い戻しできますか?

JAバンク・JA・農協の出資金は解約・返還・払い戻しできますか?

<Q>JAバンク・JA・農協の出資金は解約・返還・払い戻しできますか

 

<A>はい、できます。出資金は戻ってきます。ただし、解約・返還・払い戻しの申し出をして、すぐに受け取れることはまれです。時間がかかります。6ヶ月から12ヶ月待たないと戻らないことが多いです

 

■やや遠回りの話になりますが・・・・・・そもそも、JAバンク・JA・農協では、農業を営んでいる「正組合員」も、非農業者である「准組合員」も、まずは出資金を支払うことで正式な組合員となります。

 

その後、JAバンク・JA・農協の組合員であり続ける限り(つまり、「脱退」の申し出をしない限り)、毎年配当を受け取る権利が発生します。JAバンク・JA・農協の配当は、一般の金融機関における預け入れ金利より高いのが普通です。

 

もっとも、JAによっては、本来毎年支払うべき配当金を組合員には支払わずに、JAがプールしておき、プールした配当金の額が一定額に達すると、その一定額を「追加の出資金」としているところもあります。この場合、「最初に出した出資金」+「追加の出資金」ということになりますから、この組合員の出資金は、当然のことながら、「増額」された形となります。

 

しかしながら、多くのJAでは、配当はちゃんと毎年口座に支払われています。

 

 

■さて、このページで問題にしているのは、出資金の「解約」「返還」「払い戻し」です。コトバは違いますが、ここでは同じ意味で使っています。

 

「農業を営む親が死亡したのだが、自分は農業を継ぐつもりはないので、農協を脱退したい」

 

「JAバンクのマイカーローンを完済した。もうJAを利用するつもりはないので、脱退したい」

 

「年金暮らしをしているが、医療費などの負担が増えている。JAに出資金があるのを思い出したので、早く脱退したい」

 

出資金の解約・返還・払い戻しを考えている人には、上記のように、それぞれいろんな事情があると思います。

 

事情が逼迫しているのでなければ、JAの配当金は高率なので、そのままにしておくことをオススメしますが、しかし、どうしても取り戻したい事情があるのであれば、出資金を支払ったJAの店舗に出向き、「JAを脱退したい」とはっきりと意思表示をして下さい。

 

あなたが「脱退」の意思表示をすれば、JAバンク・JA・農協ではそれを拒否することはできません。「農協法」に照らして、それはできないのです
(※)JAが「脱退」を拒否できる例外があります。このページの最後のところをご参照ください

 

よく、農地を持っている人は、「脱退」の意思表示をしても拒否される、などという噂があるようですが、これはただ単に、JAが「脱退しないでね」とお願いしているだけです。「法的に脱退不可」ということではありません。「農家=農協の組合員」ではないのです。

 

ただし、脱退の意思表示をし、必要な書類を提出しても、すぐにその場で出資金を受け取れるわけではありません。時間がかかるのが普通です。

 

脱退の申し出をしてから6ヶ月から12ヶ月かかることもあります。

 

これにはこれのしかるべき理由があります。

 

 

■JAバンク・JA・農協に出資している人には「出資証書(出資証券)」が発行されますが、これは生命保険の証書とか定期預金の証書などとは少し性質が異なります。

 

JAの出資証書(出資証券)は、JAの側で自由に現金と交換することができないのです。より詳しく言うと、あなたが額面100,000円の出資証書(出資証券)をJAに渡しても、JAとしては、原則として、この額面100,000円に見合う新たな出資者が現れない限り、あなたに100,000円を支払うことができない、ということになっているのです。
農協法 第21条 出資組合の組合員は、いつでも、その持分の全部の譲渡によつて脱退することができる。この場合において、その譲渡を受ける者がないときは、組合員は、出資組合に対し、定款の定めるところによりその持分を譲り受けるべきことを、請求することができる。>
(※)「請求することができる」とあるだけで、すぐに換金できるとは書いてありませんね

 

生命保険や定期預金の場合は、そんなことはあり得ません。

 

あなたから「脱退」の申し出を受けたJAバンク・JA・農協では、毎年行う定例の総会において、この案件を他の案件同様に、組合員に「承認」してもらわなければなりません。総会の議決を経なければ、あなたに現金を戻すことができないのです。

 

6ヶ月から12ヶ月かかることがある、というのはこうした事情からです。

 

 

■注意すべきこともあります。JAバンク・JA・農協の出資証書(出資証券)の額面は、解約・返還・払い戻し時に、満額受け取れるとは限りません。場合によっては、減額されることもあります。

 

実際のところ、近年、JA同士の合併が盛んに行われていますが、この合併に伴い、減額された例がいくつかあります。財務内容が悪い場合、額面通り戻らないことがある、ということも頭に入れておくべきでしょう。

 

 

■さて、「脱退の申し出をすれば、JAは拒否することができない」と上で述べましたが、これには例外があります

 

それは、あなたがJAバンク・JA・農協に負債がある場合です。JAバンク・JA・農協の住宅ローン、マイカーローン、教育ローン等を組んでいて、まだ返済が終わっていない場合、「脱退したいんだけど」と申し出ても、「何言ってるんだ、借金があるくせに、冗談じゃない」とはっきり言われないにしても、そういう意味のことを言われます。

 

このことは「農協法」にも明記してあります。
農協法 第26条 第22条第1項の規定により脱退した組合員が出資組合に対する債務を完済するまでは、出資組合は、その持分の払戻しを停止することができる。>

 

(※)農協法を基にして、各JAでは、それぞれの「定款」を作成しています。この「定款」は各JAで微妙に異なることがあり、ここで問題にしている「脱退」と「債務」の関係で言えば、「債務があれば脱退できない」のではなく、「脱退する際の出資金の返還額を、債務と相殺させることができる」という「定款」も存在します。たとえば、JAに80万円の借金を抱えている人が「脱退」しようとする場合、この人が100万円の出資証書を持っているのであれば、100万円−80万円=20万円ということになり、「脱退はできるが、出資金の返還額は20万円とする」といった処理になるわけです。
■■■「農協模範定款例」第20条:(持分の払戻し)
そのA 脱退した組合員が、この組合に対して払い込むべき債務を有するときは、前項の規定により払い戻すべき額と相殺するものとする。

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